■□■ ホテルのコラム(第13回) ■□■
 プロの配ぜん人
 配ぜん人という言葉の定義は、コラムの第7回で申し上げておりますので、ここでは触れませんが、私は配ぜん人と呼ばれる人にもプロと素人があると思っています。
 私が言うところのプロの配ぜん人とは、どこのホテルに行ってもその場で瞬時にホテルの対応を理解して、そのホテルの求めるサービスを行うことの出来る配ぜん人のことをいいます。それに対して素人の配ぜん人と言うのは、自分が通常勤務するホテルのサービスしか出来ない配ぜん人のことをいいます。
 配ぜん人の手配をしているとあるホテルではとてもよく頑張る優秀な配ぜん人が、別のホテルに一日だけ応援に行かせた時にそこのホテルのスタッフと喧嘩をしたり、そこのホテルのスタッフに「自分は○○ホテルのメンバーです。」などと平気で言って反感を買うケースがよくあります。
 配ぜん人とはサービスのプロのことですから、ホテルを利用されるお客様に対して最高のサービスが出来るのは当たり前のことです。しかしもうひとつ大切なことは、自分を雇ってくれるホテルに対しても最高のサービスが出来ないといけないということです。
 ホテルに対して最高のサービスというのは、そこのホテルのスタッフに「この配ぜん人は使い易いなぁ。」と思ってもらえるような振る舞いすることです。その振る舞いの中には、お客様へのサービスも含まれますし、スタッフ間でのやり取りや指示に対して笑顔で対応する姿勢やホテルへの順応性も要求されます。
 とかくありがちなのが、通常勤務するホテルと違うホテルに行くとそのホテルの指示の出し方や仕事の段取りについていろいろチェックをしては、「何をしたらいいか指示がない。」「仕事の段取りが悪い。」などとブツブツとクレームをいう配ぜん人です。そういう配ぜん人はランクが高くても次回からは、先方のホテルから出入りを禁止されたり、メンバー交代を要求されます。
 日々雇用という形態を取る配ぜん人にとって本当に必要なことは、自分を必要としてくれる仕事を増やすことです。いつ何時、自分の勤務するホテルでの雇用がなくなるか分からないような状況に自分達はいるということをいつも忘れてはいけません。自分は仕事が出来るなどと天狗にならずに、謙虚に技術だけでなく、人間性も磨いていける人が本当のプロの配ぜん人として生き残っていけると思っています。
 黒服が着れるからプロの配ぜん人ではありません。どこへ行っても最高の仕事が出来る人がプロの配ぜん人と私は思っています。
2001/1/20

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