■□■ ホテルのコラム(第9回) ■□■
 悲しき披露宴
 今までいろいろな披露宴を見て参りましたが、その中でもどうしてもかわいそうでならない披露宴がありました。その披露宴は出席者が軽く500人を超える、それはそれは豪華で、どこかの王子様とお姫様が結婚されるのかと思えるほど、ものすごい披露宴でした。
 しかしそうそうたるはずの招待客が入場するや会場内は名刺交換会と化し、新郎新婦がお色直しで入退場をされる時以外は、挨拶回りで席を離れ、どこへ行ったか分からないお客様の席がいっぱい。
 「新郎新婦に幸多からんことを心よりお祈り申し上げます。」とスピーチしながら、”新郎新婦に逢うのは今日が初めてだ。こんなやつらがどうなろうとオレの知ったことじゃない。親とのつながり=会社の取引=これも営業だ・・・”そんな心の叫びが聞こえてきそうで、サービスをしていてかわいそうなき持ちになりました。
 世の中にはいろいろな披露宴があります。当然、家業の関係で多くの取引先の方を招待しなければならない披露宴もたくさんありますし、両親の友人、知人がたくさん出席される場合もあります。披露宴は、新郎新婦の二人の為だけでなく、両家のお祝い事としてされる場合もたくさんあります。
 しかし問題は招待される側です。ちょっとしたマナーの欠如が、せっかくの喜びを悲しみに変えてしまうことになるのです。ナイフ・フォークは上手に扱えても心のマナーは、日頃の行いで磨かれていくものだと自分にも戒めをかけられる披露宴でした。 
2000/11/16

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